福田平八郎展へ行ってきました。
恥ずかしながら近現代の日本画は疎い分野で、平八郎さん(疎いわりにはすっかり親し気)という画家については名前を見てもチラシの絵を見てもピンと来ない、つまり知らない人でした。それでも出かけたのは勉強しようなどという殊勝な心持ちからではなく、チラシ表面に使われていた『竹に雀』の、明るい色彩と平べったい雀に気持ちをくすぐられたからです。
会場に入って最初の作品は『雨後』という屏風。『竹に雀』と違い地が透けるほど薄塗りの萩(かな?)がこんもりと描かれ、雨上がりの匂いが感じられるようです。これは良い感じとゆっくり歩を進めると、一番左、萩の後に鳥が2羽。この「突然鳥さんが!」という驚きに一気に平八郎さんに心奪われてしまいました。
平八郎さんは花鳥画を良くした画家で、それもまた私の好みに合ったのでしょう。
水中の魚を見た時の印象を見事に描き出し、まるで池を覗いているかのような気にさせる『游鯉』。花ではなく木にスポットを当てた『桜』、『初雪』『新雪』などのふと手を伸ばして触れてみたくなるような雪の質感、手ぬぐいにしたら絶対かわいい『葱と雀』......。
どうして今まで知らなかったのだろうという後悔よりも、こんなに素敵な絵を描く画家に出逢えてなんて幸運なの! という嬉しさの方が大きく、とても楽しい時間を過ごすことができました。
対象物を徹底的に観察して写生を重ねることから生まれる作品は、どれも自然に対する素直で謙虚な眼差しを感じさせます。見る人を感動させよう、賞を獲ろう、地位を築こうという欲は見えず、ただただ草木を鳥を敬い慈しむために描かれたのだと決めつけたくなりました。
ですから雪や水の絵ばかりではなく、日本画のイメージを覆すほど鮮やかな発色の作品にも、透明感があるのです。それは描き手の精神の澄んだ有様ではないでしょうか。
一目でこれほど惚れ込んだ画家の絵を、◦◦展の一部としてではなく、こうして会場一杯の展示で見ることができて本当に良かったです。
もちろん図録を購入させていただきました。会場によって展示作品が一部変わるとかで、未見の絵がたくさん掲載されていました。実物を見ることができなくて残念とも云えますが、家に帰ってからさらにたくさんの絵との出会いがあって、これはこれで楽しめました。
でも『緬羊』と『草河豚・鰈』はいつか本物を見てみたいな。
お気に入りの絵にここを彩っていただけると良かったのですけれど、平八郎さんは '74年にお亡くなりになっているので、著作権上の問題から画像を掲載してはいけないように思います。日本人の場合がちょっと解っていないのですが、外国の画家なら間違いなくだめです。そのため残念ですが大事を取って今日は画像なしとさせていただきます。
よろしければ展覧会のサイトをご覧くださいませ。
京都と
名古屋で開催されました。