ロシアの大統領親衛隊「ナーシ(Наши)」が現代版「ヒトラー・ユーゲント」だと警戒されている、という報道を見ました。「偉大なるロシアの復活」を目的とし、7月には愛国心と団結心を強化するためのキャンプが開かれたそうです。
この組織に対し意見を書くのは控えますが(ここはそういう場ではありませんので)、日本に生まれ育った者として、「国家」を軸にして万単位の若者が集結するという心情は想像するのが難しいことです。いえ、それ以前にヒトラー・ユーゲントと聞いて私が思い浮かべるものは正しいのでしょうか。


皆川博子さんの
『総統の子ら』
(集英社)、この本で得たイメージがすべてです。憧れと誇りを持ってユーゲントに入団した少年が見た現実。若い矜持など早々に剥ぎ取られ、これ以上嘗めようがないほどの辛酸を嘗めさせられます。
読んでいくうちに悲惨さへの感覚が麻痺するような惨さです。彼らが求めたのは強さであって悪ではないけれど、悪者への道から脱するには流れがあまりにも速すぎて、為す術もなく若い日々が諦めと悔しさと絶望に塗れていく様子に圧倒されます。
皆川さんのドイツものはどれも読み応えがあります。その分重量級でもあるので、最初の1ページに踏み出すには気合いが要ります。
『総統の子ら』も私が読んだ単行本はお昼寝枕のような厚みがありましたが、今は文庫になっているのですね。読み始めてしまえばどんどん惹き込まれるお話なので、文庫なら長さに押しつぶされずに読めるのではないでしょうか。
この夏、汗だくになって読んでみませんか。