
星の王子さま展へ行ってきましたよ。
意外にもフランス国外の大都市圏でサン=テグジュペリさんの原画展が開かれるのは、これが初めてなのだとか。ちょっと優越感をくすぐられました。
会場の前半分は
『星の王子さま』を紹介するパネル展示で、その後『王子さま』を始めとするサン=テグジュペリさんのデッサンの数々を見ることができました。
デッサンと云いますかまるで落書きのような絵が多く、よくぞこれを保存したものだと感心しました。手紙など薄い紙に描かれた絵の多くは、作品保護のためかほとんどが複製の展示でした。
目玉は展覧会に先駆けて
日本で発見された原画です。
王子さまが巡った小惑星の1つにいる「実業屋」の絵です。
王子さまやひつじなどのかわいいキャラクターではなかったのが少々残念ではありますが、日本で見つかったことにはとても驚きました。
本よりもずっと大きな絵で、オニオンペーパーに描かれています。当時サン=テグジュペリさんはオニオンペーパーを使われていたそうで、それが発見された絵を真作と判断する材料の1つになったとの説明がありました。
昔、オニオンペーパーで手紙を出すのが好きだったことがあるのですが、絵を描くには不向きな紙だと思うのです。私がとびきり不器用だからそう感じるのでしょうか。
見ていてもっとも興味を引かたのは、ご友人たちを招いたディナーのためにサン=テグジュペリさんが自ら書いたメニューです。中の1枚には星の上で机に頬杖をついた王子さまが描かれていて、これがおそらくカラーで描かれた最後の王子さまになる、とのことでした。
そう思って見るととても感慨深いものです。
また、世界各国の『星の王子さま』が並んだ一角がありました。
表紙は右上の画像と同じ「星の上の王子さま」と「正装した王子さま」がほとんどで、一部に「鳥たちに引かれて浮かび上がる王子さま」を採用したものがありました。
目立ったのはセルビア語版。なんと「惑星を占拠した3本のバオバブ」が表紙なのです!
いませんよ! 王子さまがいませんよ!
そうそう、中国語版は違う絵でした。サン=テグジュペリさんの絵ではなかったのです。どうしてそんなことになっているのでしょう。
最後のコーナーでは内藤 濯さんの業績が紹介されていました。
「美しい日本語」を最大のテーマとして、声に出して読むに耐えうる訳文を常に心掛けていらしたという濯さん(あまりにも『星の王子さま』に親しみすぎたため、厚かましくも「濯さん」と呼ばせていただく無礼をお許しください)は、70歳で『Le Petit Prince』に出逢い、理想の翻訳の集大成としてこの作品を訳し上げたのでした。
今はたくさんの日本語訳がある『王子さま』ですが、濯さんの文章は唇に昇らせるのにやさしい手触りを有していると思います。
濯さんが皇太子妃(当時)美智子様に『王子さま』を贈り、そのお礼に賜った『Le Petit Prince』のレコード盤が遺っています。ジェラール・フィリップさんが飛行士役ですよ。
このやりとりをきっかけに濯さんと美智子様の交流は続いたそうで、濯さんの和歌に美智子様が作曲された『星の王子の......』の楽譜も展示されていました。
原画や手紙で見たサン=テグジュペリさんの直筆文字があまりにも解読難なものだったので、図録を購入しました。これがまた良い出来で、なんとも嬉しいことです。
会場に無かった絵が多数収録されていますし、『王子さま』の絵はオニオンペーパーとまではいきませんが薄い紙に裏面白紙で印刷され、ちょっとした特別感があります。
でもやっぱり文字は読みにくいのです。この字でお手紙をいただいたら、ヤギさんよろしく「さっきの手紙のご用事なあに」と電話しなければなりません。
その他にはキツネと「象を呑み込んだウワバミ」の小さなぬいぐるみを買いました。ちゃんとおなかから象が出てくるのですよ。
本当は羊も欲しかったのですが、羊は3頭必要ですからね。そんなには買えません。
またの機会のお楽しみです。