ねむたい小ウサギ*un lapereau ensommeillé
pied à pied................au loin......
雪佳さんのこと。
雪佳:狗児かわいいわん。

神坂雪佳の『狗児』です。
某デパートのお中元の広告に使われているので、町でよく見かけますね。
雪佳さんは明治から昭和にかけて活躍した、日本画家であり図案家です。
ここ数年人気が高まっていて、私もそのおかげで出逢うことができました。

最初に目にしたのがこちらの『狗児』。
「きみ、だあれ?」とかたつむりを見つめる子犬のおっとりとした愛らしさに、たちまち夢中になりました。それ以来もっと知りたいもっと見たいとアンテナを立てていましたが、日本画の展覧会でもなかなか会えず、僅かな資料を眺める日々が続きました。

そしてようやくチャンスが巡ってきました。
近代日本画と美術雑誌についての展覧会に出展されているのです。しかもこの『狗児』も!
行かなくちゃと張り切りながら、まずは美術館で開かれた雪佳さんについての講演会に出かけました。

雪佳:雪中竹右は『雪中竹』、『狗児』と並ぶ人気作です。本の表紙に使われて、広く知られるようになりました。
それはともかく講演会......退屈だったな。(瞼がくっつくのを必死に食い止めながら)

雪佳さんがまだ若い頃、日本の画家達はこぞってヨーロッパへ留学あるいは遊学に出ました。欧州でたくさんのことを学んだ彼らは帰国後、自分達の作品に西洋らしさを取り入れるようになります。
けれども周りの皆が西洋化していく中、雪佳さんだけはそうしませんでした。渡欧前と比べると作品は明らかに洗練されているのですが、決して「西洋風」ではなく、あくまでも日本的な絵を描き続けたのです。
それは他の画家達が西洋を学び自分のものにしようとしたのに対し、雪佳さんはヨーロッパへ行ったことにより、逆に日本を知って深く見つめるようになったからでした。

........というのが、90分の間に勉強したことです。
何と申しましょうか、たとえば画題をどのように決めていたのかとか描き方の特徴ですとか、そういうお話を期待していたので、ちょっと肩すかしを食らった気分です。神坂雪佳の名をどどんと出した講演会だったため、勝手にわくわくしていたのが良くなかったようです。実際はもっと幅広く当時の画家の状況全般が扱われていました。
会場には寝ている人が何人もいました。私は頑張りましたよ。でもあと数分長かったら危なかったです。

神坂雪佳 百々世草―近代図案コレクション (近代図案コレクション)琳派の流れを受け継ぐ雪佳さんの絵は、日本ならではのモチーフや色使いもさることながら、省略が見せる潔さと美しさがとても魅力的だと思います。
彼の仕事を代表する図案集『百々世草』は、抜粋ではありますが今でも見ることができます。美術展の図録を除けば、左の本を含む芸艸堂の『近代図案コレクション』シリーズぐらいしか画集らしい画集がないのが残念です。(このシリーズは値段の割にどこか一踏ん張りが足りない気がします。内容は貴重なのに)


「省略」については次の二作をご覧ください。
上手に説明できるでしょうか....。
雪佳:白鷺雪佳:春の田面
左の『白鷺』。
省略という言葉は適切ではないかもしれませんが、奥にいる白鷺のハッと何かに目を留めた瞬間のような顔と、手前の籠のタッチの違い。自分は籠のすぐ後ろにいて、編み目の隙間から、あるいは縁からほんの少し目を出して、相手に気づかれないよう息を詰めてそ〜っと白鷺を見るドキドキ感が、この大胆な筆致に表れている気がします。籠を描く線の強さが、鑑賞する私がそれ以上白鷺に近づかないよう牽制しているのです。

一方、右の『春の田面』。
女の人が畦道を歩いています。田んぼはこんな風に色とりどりではありませんけれど、春のぽかぽかな日射しや、これからお米がすくすく育つことへの嬉しい予感が、画面をほっこり包んでいます。
この色合い以外に春を表すものは何一つ描かれていないにも拘らず、しかも真ん中の農婦がいなければ田んぼかどうかも判らなくなりそうなシンプルさでありながら、見事に春を謳った絵です。

神坂雪佳の世界―発見! 琳派からモダンデザインへの架け橋 (コロナ・ブックス 140)こうして絵を貼り付けているだけでもなにやら楽しくなってきます。
『狗児』を見に早く美術館に行かなくちゃです。他の作品もあるのかな。
それからつい最近、『神坂雪佳の世界』という本が出ました。平凡社のコロナ・ブックスですから面白そうだと期待しています。

素敵な絵描きさんと出逢って、ゆっくりゆっくり親しくなっていくのは、とても楽しい遊びです。
このところ、この方とお近づきになりたいなぁと思っているのは、中村芳中さん。芳中さんもやはり琳派の流れに位置する方で、その作品には雪佳さんにも通じる愛嬌がいっぱいです。

お楽しみはどこまでも続くのです。

☆雪佳さんの作品の画像は芸艸堂よりお借りいたしました。
commentaire
この記事へのコメント
狆みたいです
すいさん、ご無沙汰しています。

この子犬ちゃん、まっしろですけど、雰囲気的には狆みたいで、なんか惹き付けられます!ほっとする絵ですね・・・

STEのほうの、Poohカテゴリ、構想はいっぱいあるのですが、まだ投稿する時間がありません、、うっ、うっ。。思い入れが強すぎると、簡単に書けないもんです。。
2008/07/18(金) 13:53:38 | URL | Keiko #TVxKqzNE[ edit]
短髪にすると(Keiko様へ)
....こんな感じでしょうか。
って、短髪にはしませんよね(笑)。

お忙しそうですね〜。
わざわざいらしてくださってありがとうございます。
あの....たとえば「ご無沙汰だし忘れちゃったよ」とか「来てない間に面白い話があったんだけどな」ということはありませんから(笑)、お暇な時にでもふらりとお立ち寄りいただければ、私はそれだけで十分嬉しいです。
せかせかしないことにかけてはプーさん達と良い勝負ですから!
2008/07/19(土) 15:49:47 | URL | すい→Keiko様 #CXJ0ON2Y[ edit]
merci pour vos commentaires
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secret: ないしょ話
 
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